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この石積みの目地はなぜ海水に耐えれるのか?庭師の皆様・・・いかが?


テーマ:技術の話(石や石垣や擁壁等)

京都や、駿府城の石垣のことを書く前に・・・・・

下の写真をご覧下さい。

 

 

これはある小さな離島の遺跡のようなもの・・・石積みです。 

風雨だけでなく海波をもろに被る場所にある石積みです。そしてなんと、この上には重いコンクリートの擁壁が載っています。

少なくともこの部分でも100年以上は経っているでしょう。

ところどころにまだ剥落していないモルタル(コンクリート)の塗った痕が残っていますが、もとは全体が薄いモルタルで侵食防止のために覆われておりました。しかしながら長年の甚大なるストレスにより多くが剥落してしまいました。

また石の積み方そのものは脆弱な・・つまり手を抜いた積み方で、目地部分に何も込めない正統的な空積み(からづみ)の基本からすれば、禁じ手といっていいいでしょう。 

でも・・・・・明治、大正時代の人々は、わざとこの練り物を入れた積み方を採用したようです。 

もちろん理由があるのですが。

庭師の方々どうでしょう。理由はおわかりですか?

 

さて、この石と石の間の目地部分には土とマグネシウムを混ぜ合わせた所謂「たたき土」が使われています。 コンクリートと比べれば本来なら耐久性はかなり劣りますが、この現場は全くといっていいほどヒビ割れが見られません。すごい技術であります。

現代ではたいていは下の写真のようにひび割れます。但し下の写真は、セメントと土を混ぜた所謂本物の「たたき土」ではないものです。

たたき風の土コンクリートといったほうがよいでしょう。

もちろんたたき風ですから食えませんw・・・座布団全部持ってゆかれました・・・・。 

たしかにセメントを混ぜれば磨耗には強いのですが、たたき風は砂を土に置き換えただけの「ただのコンクリート」ですので、このようによくひび割れます。

また、足あたりが硬いので、日本人の大半が歳をとれば発症する変形性膝関節症等の、足の不自由な方々には優しくありません。

 

 

 

重いのもが載っかって、100年ぐらい風雨や波に晒されても、まだ大丈夫なただの固めた土と、屋根の下でも一年も経たずに簡単にひび割れる現代の土コンクリートのタタキの技術の格差はどこからくるのだろう。

科学的知見から考察すればなるほどと納得できるこの古の人々の技術!

今の庭師は、形だけ真似るのは上手いが、真の技術を何も受け継いでいないのではないか。

双鉤填墨(そうこうてんぼく)

双鉤填墨(そうこうてんぼく)




書道の技法に双鉤填墨というのがあります。簡単に言えば手本の輪郭をまず写し取り、その後中を埋めて行く複写法のこと。なんだただの白黒コピーかと思うかもしれません。仮に私がやればただの白黒コピーでしょう。けれでもそうでないものもあるのです。
例を挙げれば書聖たる王義之の真筆はこの世に現存しません。現在我々が見ることができるのは全て
双鉤填墨の王義之の書のみです。しかしながらそれば恐ろしいまでの手間と時間をかけた秀逸なる出来で、ただの複写ではありませんでした。私は実際に台湾の故宮でそれを見たのです。故宮にある王義之の書の双鉤填墨のような高いレベルの模写は、もはや真筆と見紛うばかり。翻って今の我が国の「たたき」は専らその「様子」のみを真似てみただけの出来の悪いものが多いのではないか?

 

 

 話を変えます・・・

 

では質問です。

最初の写真の石積みは・・・

①なぜ、ひび割れがみられないのか。

②なぜこのような積み方なのか。

③なぜ海水にもびくともしないのか。

庭師の皆様、素人の皆様・・・・・前回のブログのように、名答をお待ち申し上げております。ただ前回同様庭師のまともな回答は・・・・・期待薄です。

一般の読者の皆様・・・・庭師をあまり持ち上げてはいけません。


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コメント

  1. 黒田あっかん兵衛ー
    2015/02/12 20:30
    こんばんは
    こういうの知りたかったんです
    どこにもこういうのないですよね 質疑応答のタイプで
    うちの家も庭師が叩きをしてるんですけど硬いんですよ
    それでひび割れもすごいのですよ
    誰かが名回答してくれるのをきたいしてますw
  2. 植木屋
    2015/02/13 00:41
    JIS+2D22の回答
    石垣が直線ではなくウェーブ状になっている。
    ただし、井戸のような円もしくは橋のようなブリッジ状ならば上部の荷重も含めて強度は高いと思いますが、ウェーブ状では?です。目地に関しては全く分かりません。マグネシウムの話になるとちんぷんかんぷんです。
    土とセメントも悪くないという安易な考えが抜けません。

    [Res]井出
    2015/02/15 18:38
    ウェーブですね。それは確かにあります。
    土とセメントも悪くない・・・・私も全否定はしません。ただ、それしかできないのが問題なのです。「偽物」ならそうお客様にまず告げなくては・・・・・日本中の版築がほぼ全て偽物なのですから「版築もどき」とすべきなのに、そう言わないのが問題なのです。

  3. くどー
    2015/02/13 18:42
    100年風雨ですか?
    これはすごい。
    私も含め庭師はバカですからとてもとても勉強になりますわ。
    で、答えはわかんないですわ。ハハハ。
  4. 庭師十五年
    2015/02/13 22:13
    はじめまして。
    京都で庭師をしております。
    人に聞いて先週より読み始め、約半分は読みました。
    率直に言って驚きの連続です。
    自分が納得がゆかなかったことが存分にここにあります。
    誰も教えてくれなかったことがここにあります。
    誰もがはぐらかしてきたことがここにあります。
    辛いです。
    何を私たちはしているのでしょう。
    庭師とは何者なのでしょう。
    ただの自己マン集団なのでしょうか。
    [Res]井出
    2015/02/15 18:34
    そう思います。

  5. 庭師21年
    2015/02/18 22:15
    無為に過ごしたこの年月。
    今になって思い知らされる。
    情けない。
  6. 読者
    2015/02/21 14:46
    こんにちは。
    いつも楽しみに読ませていただいております。
    こちらの記事を拝読してから1週間、ずっと考えていましたが、ダメもとでチャレンジさせてください。

    ひび割れが見られないのは、元々練り物に水分が少ないのと、海風の湿った空気や波を被ることで、練り物の湿度が保たれている状態だから。
    空積みでないのは、空積みにすると隙間に海藻類が生えるとか生物が入るとかして、ぬめりが出来て摩擦が減って崩れやすくなるから。
    海水にもびくともしないのは、たたき土の成分のにがりが、海水によって補給され続けているから。

    という想像をしてみました。
    [Res]井出
    2015/02/21 17:36
    読者様

    いつもこちらも勉強になる真面目な回答をありがとうございます。

    点をつけるなら40点でしょうか。考え方のラインはある意味ハズれていないところもありますが、大ハズれのところもありますので40点です。なおここは、コンクリートの擁壁が波で倒壊することもあるほどの荒海です。補給よりなにより普通なら目地の土は海水で流されるはずですが、ご覧の通りです。
    柔らかいなら流されるはず、硬いなら割れるはずですが???